当院では、お母さんとこれから生まれてくる赤ちゃんの健康を守るため、妊娠中の予防接種を推奨しています。
1. RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®)
【2026年4月より定期接種化】
このワクチンは、お母さんが接種することで作られた抗体が赤ちゃんに移行し、生後6か月頃までのRSウイルスによる肺炎や細気管支炎などの重症化を防ぐことを目的としています。RSウイルスは乳児にとって重症化リスクが高く、入院や呼吸管理が必要になることもありますが、出産前に予防できる点が大きなメリットです。
注意点: 接種から出産まで14日以上の間隔があることで、赤ちゃんへの十分な効果が期待できます。帝王切開など計画分娩で38週6日までに出産予定の方は、早めに医師にご相談ください
対象者(定期接種): 接種時点で妊娠28週0日から36週6日までの方
※効果をより高めるため、この期間内での接種が推奨されます。
費用:2026年4月以降、 定期接種(公費助成)となり、原則無料でお受けいただけます (お住まいの市町村により、予診票の利用方法や自己負担額が異なる場合がありますので詳細は自治体へご確認ください)
2. その他の妊娠中に接種可能なワクチン
RSウイルスワクチンとあわせて、以下のワクチンの接種もご検討ください。(迷われている方は、当院やお近くの産婦人科医へお気軽にご相談ください)
〇インフルエンザワクチン(不活化)
妊娠中に感染すると重症化や早産のリスクが高まります。妊娠時期を問わず接種可能で、お母さんの抗体が赤ちゃんにも移行し、生後しばらくの間、赤ちゃんのインフルエンザ感染を防ぐ効果も期待できます。 ※経鼻生ワクチン(フルミスト®)は妊婦さんには使用できません。
〇百日咳含有ワクチン(DTaP トリビック®)
乳児の重症百日咳を防ぐ目的で、海外では妊娠28〜36週の母体接種が推奨されていますが、日本では成人用の百日咳ワクチン(Tdap)は未承認の状態です。
そこで日本産科婦人科学会などでは実現可能な代替案として、日本で妊婦さんにも接種が認められている3種混合ワクチン(DTaP、トリビック®)を提示しています。お母さんが接種することで抗体が赤ちゃんに移行することは確認されていますが、乳児の重症化予防効果については、まだ十分に証明されていないようです。それでも、赤ちゃんを守る手段のひとつとして、妊婦さんへの接種を前向きに検討できると考えています。
〇新型コロナワクチン
妊娠中に感染すると、重症化や早産のリスクが高まることが知られています。希望する妊婦さんは接種可能であり、重症化リスクを下げる効果が報告されています。
参考文献・関連情報
こどもとおとなのワクチンサイト「妊娠可能年齢の女性と妊婦のワクチン」
https://www.vaccine4all.jp/news-detail.php?npage=2&nid=143
日本産科婦人科学会「女性を脅かす感染症」
https://www.jsog.or.jp/citizen/7042/
日本産婦人科学会「RSウイルスに関するご案内」
https://jaog.or.jp/rsvirusinfo/
日本産科婦人科学会「RS ウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®筋注用)」
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/20250906_ippan.pdf
日本産科婦人科学会「乳児の百日咳予防を目的とした百日咳ワクチンの母子免疫と医療従事者への接種について」
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/infection07.pdf